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TEMPLE TREASURES / 長運寺の寺宝

祈りを伝える、寺宝。

地蔵菩薩と十王に託された、救いと追善の願い。
その役割と、法要の節目との関わりをご紹介します。

地蔵十王図の挿絵(閲覧番号06)地蔵十王図の挿絵(閲覧番号01)地蔵十王図の挿絵(閲覧番号10)

長運寺の寺宝

地蔵菩薩と
十王信仰

JIZŌ & THE TEN KINGS

亡き人の安らぎを願い、
祈りを伝える十一幅。

江戸時代に制作されたと考えられる、紙本著色の十一幅。地蔵菩薩と十王の姿を通して、人の行いを問い、亡き人の安らぎを願う信仰を伝えています。

地蔵菩薩と十王それぞれの役割や、追善供養との関わりをご紹介します。

葉山町指定重要文化財

江戸時代 紙本著色・十一幅

昭和46年(1971)9月30日 指定

十王と追善供養

初七日から、三回忌まで。

十王信仰では、亡くなった人が十人の王の審判を受ける節目と、追善供養の忌日が結び付けられてきました。初七日から四十九日までは七日ごとに、その後は百箇日・一周忌・三回忌へと続きます。

  1. 01

    秦広王

    初七日7日目

  2. 02

    初江王

    二七日14日目

  3. 03

    宋帝王

    三七日21日目

  4. 04

    五官王

    四七日28日目

  5. 05

    閻羅王(閻魔王)

    五七日35日目

  6. 06

    変成王

    六七日42日目

  7. 07

    泰山王

    七七日(四十九日)49日目

  8. 08

    平等王

    百箇日100日目

  9. 09

    都市王

    一周忌満1年

  10. 10

    五道転輪王

    三回忌満2年

一般的な十王信仰の対応を示したもので、当山の法要日程や実施方法を定めるものではありません。日数は亡くなった日を含めて数える表記です。三回忌は満二年にあたります。絵の閲覧番号と、この審判の順番は別です。

王名と忌日の、読み方について

十王は、亡くなった人の生前の行いを審判するとされる十人の王です。日本では、初七日から三回忌までの追善供養と結び付けて信仰されてきました。王の役割や呼び名には、時代や地域による違いもあります。

ここに掲げる忌日は、一般的な十王信仰における対応です。当山の法要日程や実施方法を定めるものではありません。地蔵菩薩は十王の一人ではなく、苦しむ人々を救う仏として信仰されています。

01地蔵十王図

苦しむ人々を救う菩薩

地蔵菩薩

十王の審判とは別に、救済を担う菩薩

地蔵菩薩は、苦しみの中にある人々を救う菩薩として信仰されてきました。救いはこの世に限らず、地獄を含む六道のすべてに及ぶとされます。六道とは、迷いのある命が生まれ変わる、六つの世界を指します。

お釈迦さまの入滅後、未来に弥勒菩薩が仏となるまでの間、人々を導く役割を託されたとも説かれます。十王信仰においては、冥界で苦しむ亡き人にも救いをもたらす存在です。

日本では「お地蔵さま」と呼ばれ、子どもの守り仏としても親しまれています。道の辻や寺院などで身近に祀られ、生きている人の安らぎと、亡き人の救済の両方を願う信仰を集めてきました。

02地蔵十王図

初七日に迎える、最初の審判

秦広王

秦広王:初七日(7日目)

秦広王は、十王の最初に位置し、亡くなって七日目の初七日に審判を行うとされる王です。死者は生前の行いを問われ、冥界での裁きを受け始めると考えられてきました。

十王信仰では、死後の行く先は生前の行いと結びついていると説かれます。秦広王は、その考え方の入口に立つ王です。悪い行いへの戒めとともに、善い行いを重ねることの大切さを伝えています。

初七日は、亡き人の安らぎを願って追善供養を行う節目でもあります。追善とは、遺された人が読経や善い行いを通して、故人のために功徳を積むことです。

03地蔵十王図

二七日と、冥界への道

初江王

初江王:二七日(14日目)

初江王は、十王の第二の王で、二七日、亡くなって十四日目の審判を担うとされます。初七日から四十九日まで、七日ごとに続く審判の一つにあたります。

日本の伝承では、三途の川に深く関わる王として語られます。川のほとりにある役所から、死者が川を渡る様子を確かめると伝えられています。

二七日の供養には、亡き人が苦しみを離れ、安らかであるようにという願いが込められてきました。七日ごとに祈りを重ねる習わしは、こうした十王信仰と結びついています。

04地蔵十王図

三七日に生前の行いを問う王

宋帝王

宋帝王:三七日(21日目)

宋帝王は、三七日、亡くなって二十一日目の審判を行う第三の王です。十王の一人として、死者が生前に重ねた行いを問い、その罪の軽重をただす役割を担うとされます。

十王による裁きは、中国で形づくられ、日本の仏教信仰にも広まりました。宋帝王もその中に位置づけられ、初七日から続く忌日とともに名を伝えられてきました。

三七日は、中陰の追善供養を重ねる節目です。亡き人のために祈り、善い行いの功徳を届けようとする考えが、審判を説く信仰を支えています。

05地蔵十王図

四七日、行いの重さを量る王

五官王

五官王:四七日(28日目)

五官王は、四七日、亡くなって二十八日目の審判を担う第四の王です。「伍官王」とも表記され、生前の行いの重さを確かめる王として知られています。

その裁きは、行いを秤にかけて量るという伝承と結びついています。身体による行動だけでなく、言葉によって生じた罪も問われるとされ、日々のふるまいを顧みる教えを伝えます。

四七日も、亡き人のために善を修める追善供養の機会です。厳しい裁きの伝承と、供養によって故人を支えたいという願いが、一つの信仰の中で受け継がれてきました。

06地蔵十王図

五七日の審判を司る閻魔さま

閻羅王

閻羅王:五七日(35日目)

閻羅王は「閻魔王」とも呼ばれ、五七日、亡くなって三十五日目の審判を行う第五の王です。日本では「閻魔さま」として広く知られ、十王の中でも中心的な存在として信仰されてきました。

その起源は、インドで死者の王とされたヤマにさかのぼります。仏教とともに中国へ伝わり、現地の信仰とも結びついて、十王の一人に位置づけられました。

生前の行いを映す業鏡の伝承でも知られます。隠された行いも明らかになるという教えは、自らの行動に向き合うことを促すものです。また、地蔵菩薩を本来の姿とする信仰もあります。

07地蔵十王図

六七日、来世の行く先をただす王

変成王

変成王:六七日(42日目)

変成王は、六七日、亡くなって四十二日目の審判を担う第六の王です。四十九日に至るまでの七人の王のうち、六番目に位置します。

伝承では、それまでの審判で明らかになった生前の行いを踏まえ、死者がどのような場所に生まれるかを定めるとされます。生と死が一度きりで終わらず、次の生へ続くという輪廻の考え方に関わる王です。

六七日の供養も、故人がよりよい境涯へ導かれるように願う営みです。審判の時を祈りの節目とし、亡き人の安らぎを願い続ける心が、十王信仰には息づいています。

08地蔵十王図

四十九日の節目を司る王

泰山王

泰山王:七七日・四十九日(49日目)

泰山王は「太山王」とも書かれ、七七日、四十九日の審判を行う第七の王です。初七日から七日ごとに続く七人の王の最後に位置し、中陰の大きな節目と結びついています。

その名は、中国の霊山・泰山に由来します。人の生命や禍福を司る泰山の神への信仰が仏教と交わり、冥界の王として受け入れられたと考えられています。

四十九日は、故人の安らぎを願う供養の重要な日として大切にされてきました。十王信仰では、その後にも百箇日・一周忌・三回忌の審判が続き、祈りも長く重ねられます。

09地蔵十王図

百箇日に続く、追善の願い

平等王

平等王:百箇日(100日目)

平等王は、百箇日、亡くなって百日目の審判を担う第八の王です。四十九日までの七日ごとの審判を経た後に位置する王として、十王信仰の中に数えられます。

平等王にまつわる伝承では、遺された人による追善供養が重んじられます。布施などの善い行いを修め、亡き人のために功徳を積むことが、救いへつながると考えられてきました。

百箇日の供養は、葬送の直後だけでなく、時を経ても故人を偲び続ける営みです。平等王は、長く続く祈りの節目を担う王として受け継がれています。

10地蔵十王図

一周忌、亡き人を偲ぶ節目

都市王

都市王:一周忌(満1年)

都市王は、一周忌、亡くなって満一年の審判を行う第九の王です。七日ごとの忌日や百箇日を経て、年を単位とする追善供養へとつながる節目に位置します。

都市王にまつわる信仰でも、遺族の供養が亡き人の救いに役立つと考えられてきました。一周忌の法要を通して功徳を届け、故人がよりよい境涯へ導かれるように願います。

一周忌は、故人と縁のある人が、その生涯を振り返り、あらためて冥福を祈る機会です。都市王は、亡き人への祈りが一年を経ても続いていくことと深く関わる王です。

11地蔵十王図

三回忌を司る、第十の王

五道転輪王

五道転輪王:三回忌(満2年)

五道転輪王は、十王の最後に位置し、三回忌の審判を行うとされる第十の王です。三回忌は、亡くなった年を一回目として数えるため、満二年の節目にあたります。

十王の審判は、生前の行いと来世の生まれる先を結びつける信仰です。五道転輪王もその一人として、死者の行く末に関わる王とされ、三回忌の追善供養とともに語られてきました。

五道転輪王は十王の最後の王ですが、三回忌の後も故人を偲ぶ供養は続きます。日本では十王信仰から十三仏信仰へと広がり、さらに長い年月にわたって追善を重ねる習わしにつながりました。

地蔵菩薩の救いと、亡き人の供養。

十王の裁きと、地蔵菩薩の救い。これらの信仰は、人の行いを見つめることと、亡き人の安らぎを願うことに結び付いてきました。追善供養の節目には、故人を思い、その冥福を祈る心が受け継がれています。

地蔵菩薩の解説へ

PRESERVED IN PRAYER

守り伝える、
祈りの歴史。

御本尊葉山町指定重要文化財・彫刻

木造不動明王及び二童子像

長運寺の御本尊、不動明王と二童子の像です。葉山町の文化財一覧には「木造不動明王及び二童子像」の名称で掲載され、昭和57年(1982)4月24日に町指定重要文化財となっています。

葉山町の文化財一覧で確認する ↗

地蔵菩薩と十王の一般解説